フレッシュ・アーティスツ from ヨコスカ 50回記念演奏会
三大協奏曲

世界へ羽ばたき、輝きを増した名手達の現在 - 田村響

2017.11.19

3歳からピアノを始められたそうですね。幼いときからピアノ漬けの毎日だったのでしょうか?小学生・中学生とピアノ以外に夢中になったことはありますか?

田村(以下T) 小学1年生の時から毎年コンクールを受けていました。夏休みは練習漬けでセミの声を部屋の中で聞いていました。それでも時々は友達の家でゲームをしたり、外でサッカーや野球をしたりしていました。

2005年に「フレッシュ・アーティスツfrom ヨコスカ リサイタル・シリーズ」に出演されたとき、田村さんは17歳でした。当時のリサイタルのことを覚えていらっしゃいますか?また、横須賀という町の印象で覚えていることがありましたら、教えていただけますか?

T 何を弾いたかは覚えていますが、正直、演奏や町の事は覚えていません・・・。あとチラシに載った写真は覚えています。今とは全然違いますね(笑)

田村さんは当時からコンクールで入賞したり、演奏活動も色々と行っていらっしゃいました。すでに「プロのピアニストになろう!」と決めていたのでしょうか?

T プロになろうとかピアニストになろうというよりは、いい演奏がしたい、もっと成長したい、という向上心の方が強かったと思います。もちろんピアノをずっと続けているので、ピアノを辞めたり違うことを考えたりはしませんでした。

その後、オーストリアで学ばれ、2007年の20歳の時に、世界的に権威のある〝ロン・ティボー国際音楽コンクール〟で優勝されました。10年前のことですが、今でも思い出すことはありますか?

T よく覚えていますし、人間的に変化・成長するきっかけとなる時期でした。優勝したことで演奏活動が広がり、生活が変わったのはもちろんですが、私自身の私生活での出来事や、それによって出会った本や考え方や意識の変化などを今でも思い出します。それがあってのコンクールの優勝でもあったと思います。

 さて、この秋も大変精力的に活動されていらっしゃいます。ソロ・リサイタル、室内楽、オーケストラ、シリーズもの等、今一番力を入れたいことや、音楽家として挑戦してみたいことは何ですか?

T 室内楽やオーケストラとの共演は一緒に音楽を創り共有出来る喜びがあり、今後も常に取り組みたいと思います。ソロも何か自分なりのテーマを掲げてシリーズで取り組めたらと考えています。

来年1月には13年ぶりに横須賀に戻ってきていただけますね。高関 健指揮、東京シティ・フィルと世界中で人気の高いラフマニノフの協奏曲第2番を演奏いただきます。この曲について、田村さんご自身にまつわる思い出がございましたら教えてください。

T 高関さんとは初共演なのでとても楽しみです。
  この曲は15歳の時から弾いている曲で、これまでに何度も演奏する機会をいただきました。人生経験を重ねながら、少しでもアプローチの仕方や音楽が変化していくのを感じる時に、自分自身のフィルターを通して音楽が奏でられるんだと実感します。今後も精一杯弾きたいと思います!

最後に、横須賀のお客様へメッセージをお願いします。

T 再び横須賀で演奏できる事を嬉しく思います。今からとても楽しみです。
  大作曲家が残した素晴らしい音楽を会場で共有しましょう!
  お待ちしております!

世界へ羽ばたき、輝きを増した名手達の現在 - 鈴木愛理

2017.11.1

2005年に「フレッシュ・アーティスツfrom ヨコスカ リサイタル・シリーズ」に出演されたときは、まだ15歳だったと思います。当時の印象や思い出はありますか?

鈴木(以下S) 当時は中学生だったのですが、私自身初めてのリサイタルでした。たくさんの曲を一度のコンサートで弾く事も初めてでしたし、とても不安でした。本番は大勢のお客様にお越し頂き楽しく演奏することができて、終演後は達成感と色々な感情が混ざり涙したことを今でも覚えています。

その次の年には、世界で権威あるヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで第2位を受賞され、一躍国内外で注目されました。当時、すでにヴァイオリニストになろうと思っていたのですか?

S 実は、いつからヴァイオリニストになろうと思っていたかは、はっきり覚えていないのです。小さい頃から、ただただ音楽が好きでヴァイオリンに夢中になっていて、気づいたらこの道に進んでいました。おそらく小学校高学年の時には、すでに決心していたのかもしれません。

今年は横須賀市内の小学校4校でコンサートを行っていただきました。小学校での演奏は、いかがでしたか?

S 小学校訪問コンサートは初めてだったのですが、子供たちの反応がとても素直でダイレクトに伝わってきて、演奏もトークも楽しめてできました。このように、子供たちに音楽を身近に感じてもらえる活動は、素晴らしいことだと思います。

さて、今回の記念演奏会では、世界中で大変ポピュラーなメンデルスゾーンの協奏曲を演奏していただきます。この曲について、鈴木さんご自身にまつわる思い出はありますか?また、このコンチェルトの魅力はどのようなところにありますか?

S ポピュラーだからこそ難しいメンデルスゾーンのコンチェルトですが、弾けば弾くほど新しい発見があります。またドイツへ留学し、ドイツ語、ドイツ歌曲、ドイツ音楽を勉強していく中で、この曲へのイメージやアプローチも以前とずいぶん変わりました。メンデルスゾーン特有の新鮮な音楽づくり、そして何より美しい旋律。時にどこか晩秋の悲しさを感じさせるメロディーと魅力が詰まったコンチェルトをぜひ楽しんでいただければ嬉しいです。

ところで、2010年からドイツのハノーファーに住んでいらっしゃいますね。 住み心地はいかがですか?また、音楽をやるのにどんな刺激をうけていらっしゃいますか?

S ハノーファーは緑が多く自然にも恵まれています。また、北部ドイツのほぼ中央に位置しているので交通の便も良く、どの都市へ行くにも便利です。ベルリンまでも1時間半くらいなので、よくコンサートを聴きに行ったりもします。都会すぎず田舎すぎないので住みやすく、私はとても気に入っています。

この秋からNDR(ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)の副コンサート・マスターを務められるようですが、オーデションを受けたきっかけは何ですか?

S いつかオーケストラで弾きたいと思っていたのですが、明確なビジョンはなく、たまたま知り合いの方から「オーディションがあるから受けてみたら?」と言われて、良い経験になると思いチャレンジしました。3週間後に迫っていたオーディションのため、急いで楽譜を買って準備をしたのですが、今までオーケストラのソロのパートなど弾いたことがなかったので、とても勉強になりました。また、ドイツのオーケストラのオーディションの雰囲気を実際に感じることができて良かったです。

一方で日本では年明けにCDデビューそして3月にはCD発売記念リサイタルも予定されています。今後のドイツと日本での活動への抱負をお聞かせいただけますか?

S 日本でもこのように演奏させていただける場があって、皆様に演奏を聴いてもらえること、そしてドイツではオーケストラの一員としても勉強できて本当に有難いです。この環境に感謝しこれからも音楽と真摯に向き合っていきたいと思います。

最後に、今回は高関健指揮、東京シティ・フィルとの共演となりますが、横須賀のお客様へメッセージをお願いします。

S 高関先生とは8年ぶりの共演で、東京シティ・フィルの皆様とは初めて共演させていただきます。また、この横須賀芸術劇場の舞台に戻ってくることができてとても嬉しいです。来年ここで皆様にお会いできますことを、今からとても楽しみにしています。

ドイツでも日本でも、ちょうど新たな転機を迎えることとなった鈴木さん。今後の活躍から目が離せません。1月の横須賀芸術劇場での演奏もどうぞお聴き逃しなく!

音楽家はホールから生まれます

梅津時比古(横須賀芸術劇場育成事業アドバイザー)

2017.9.16

音楽家はホールから生まれます。ウィーン・フィルハーモニーは、ウィーンのムジークフェラインスザール(楽友協会ホール)によってあの素晴らしい響きが作られました。

2000年に横須賀芸術劇場が「フレッシュ・アーティスツ from ヨコスカ リサイタル・シリーズ」を立ち上げたのも、演奏家を目指す人たちが、若い内にホールでリサイタルを行い、本当の演奏の場としてのホール経験を出発点にしてほしいという願いからでしょう。

一回の本番は百回の練習に勝ると言われます。多くの演奏家が「新しい音を本番で発見した」「本番で初めて自分の音楽が見えた」と本番の特別の力について語ります。若い人にとって、一夕のリサイタルの場を持つということが、どれほど大きな意味を持つことか、はかりしれません。
 それだけに初めてのリサイタルの場は、魅力的な環境が必要とされるでしょう。横須賀芸術劇場の「フレッシュ・アーティスツ from ヨコスカ リサイタル・シリーズ」には素晴らしい「サポートメンバーズ」が組織化されています。その温かい応援は出演者を大きく力づけてきました。皆さん「温かい聴衆に包まれて幸せだった」と口をそろえています。

このシリーズが、50回記念を迎えるまでになりました。改めてこれまで舞台に立たれた方々のお名前を眺めると、このシリーズに出演後、皆さんが世界を股に掛けて大活躍されていることが分かります。これは横須賀芸術劇場で彼らのリサイタルを聴かれた聴衆の方々や、「サポートメンバーズ」の皆さんにとっても大変に嬉しいことではないでしょうか。押しも押されぬ演奏家の初めてのころの演奏を聴いて、応援して、送り出すという、貴重な、素晴らしい体験を共有されているのですから。

50回記念として開かれる三大協奏曲の夕べ(2018年1月)に、これまでシリーズに出演した中から飛びきりの3人が戻ってきてくれます。
 上村文乃さんはドボルザークのチェロ協奏曲を豊かに歌いあげてくれるでしょう。鈴木愛理さんはメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の美を極めてくれるはずです。そして、田村響さんによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の雄渾な響き!

横須賀芸術劇場はまるで横須賀の港のようです。ここから船出して世界に渡る。そしていったん帰港し、その体験を積み重ねた音楽で私たちを堪能させてくれます。そして再びの船出。私たちは喜びをもって送り出せるのではないでしょうか。