YOKOSUKA ARTS THEATRE

世界へ羽ばたき、輝きを増した名手達の現在 - 鈴木愛理

2005年に「フレッシュ・アーティスツfrom ヨコスカ リサイタル・シリーズ」に出演されたときは、まだ15歳だったと思います。当時の印象や思い出はありますか?

鈴木(以下S) 当時は中学生だったのですが、私自身初めてのリサイタルでした。たくさんの曲を一度のコンサートで弾く事も初めてでしたし、とても不安でした。本番は大勢のお客様にお越し頂き楽しく演奏することができて、終演後は達成感と色々な感情が混ざり涙したことを今でも覚えています。

その次の年には、世界で権威あるヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで第2位を受賞され、一躍国内外で注目されました。当時、すでにヴァイオリニストになろうと思っていたのですか?

S 実は、いつからヴァイオリニストになろうと思っていたかは、はっきり覚えていないのです。小さい頃から、ただただ音楽が好きでヴァイオリンに夢中になっていて、気づいたらこの道に進んでいました。おそらく小学校高学年の時には、すでに決心していたのかもしれません。
今年は横須賀市内の小学校4校でコンサートを行っていただきました。小学校での演奏は、いかがでしたか?

S 小学校訪問コンサートは初めてだったのですが、子供たちの反応がとても素直でダイレクトに伝わってきて、演奏もトークも楽しめてできました。このように、子供たちに音楽を身近に感じてもらえる活動は、素晴らしいことだと思います。

さて、今回の記念演奏会では、世界中で大変ポピュラーなメンデルスゾーンの協奏曲を演奏していただきます。この曲について、鈴木さんご自身にまつわる思い出はありますか?また、このコンチェルトの魅力はどのようなところにありますか?

S ポピュラーだからこそ難しいメンデルスゾーンのコンチェルトですが、弾けば弾くほど新しい発見があります。またドイツへ留学し、ドイツ語、ドイツ歌曲、ドイツ音楽を勉強していく中で、この曲へのイメージやアプローチも以前とずいぶん変わりました。メンデルスゾーン特有の新鮮な音楽づくり、そして何より美しい旋律。時にどこか晩秋の悲しさを感じさせるメロディーと魅力が詰まったコンチェルトをぜひ楽しんでいただければ嬉しいです。

ところで、2010年からドイツのハノーファーに住んでいらっしゃいますね。 住み心地はいかがですか?また、音楽をやるのにどんな刺激をうけていらっしゃいますか?

S ハノーファーは緑が多く自然にも恵まれています。また、北部ドイツのほぼ中央に位置しているので交通の便も良く、どの都市へ行くにも便利です。ベルリンまでも1時間半くらいなので、よくコンサートを聴きに行ったりもします。都会すぎず田舎すぎないので住みやすく、私はとても気に入っています。

この秋からNDR(ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団)の副コンサート・マスターを務められるようですが、オーデションを受けたきっかけは何ですか?

S いつかオーケストラで弾きたいと思っていたのですが、明確なビジョンはなく、たまたま知り合いの方から「オーディションがあるから受けてみたら?」と言われて、良い経験になると思いチャレンジしました。3週間後に迫っていたオーディションのため、急いで楽譜を買って準備をしたのですが、今までオーケストラのソロのパートなど弾いたことがなかったので、とても勉強になりました。また、ドイツのオーケストラのオーディションの雰囲気を実際に感じることができて良かったです。

一方で日本では年明けにCDデビューそして3月にはCD発売記念リサイタルも予定されています。今後のドイツと日本での活動への抱負をお聞かせいただけますか?

S 日本でもこのように演奏させていただける場があって、皆様に演奏を聴いてもらえること、そしてドイツではオーケストラの一員としても勉強できて本当に有難いです。この環境に感謝しこれからも音楽と真摯に向き合っていきたいと思います。

最後に、今回は高関健指揮、東京シティ・フィルとの共演となりますが、横須賀のお客様へメッセージをお願いします。

S 高関先生とは8年ぶりの共演で、東京シティ・フィルの皆様とは初めて共演させていただきます。また、この横須賀芸術劇場の舞台に戻ってくることができてとても嬉しいです。来年ここで皆様にお会いできますことを、今からとても楽しみにしています。

ドイツでも日本でも、ちょうど新たな転機を迎えることとなった鈴木さん。今後の活躍から目が離せません。1月の横須賀芸術劇場での演奏もどうぞお聴き逃しなく!

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