YOKOSUKA ARTS THEATRE

音楽ライターの高坂はる香氏が語る
ブレハッチ(ピアニスト)の魅力

11月17日によこすか芸術劇場に初来演する、世界的ピアニスト ラファウ・ブレハッチ。その人柄や音楽の魅力を、ブレハッチを長年取材し続けている音楽ライターの高坂はる香さんにお伺いしました。


ラファウ・ブレハッチの名が世界から注目されるようになったのは、2005年ショパン国際ピアノコンクールで優勝したことがきっかけだった。しかし日本の聴衆には、その前からブレハッチの演奏に触れる機会があった。それは2003年、浜松国際ピアノコンクールでのこと。当時18歳だったブレハッチには、過去に目立った国際コンクール入賞歴もなく、最初の書類審査で選に漏れていたが、そんな見落としを防ぐために行われていた実演によるオーディションに合格。浜松で予選の舞台に立つと、見事最高位にのぼりつめたのだった。直木賞と本屋大賞の受賞で話題となった恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」は、浜松国際ピアノコンクールがモデルとなっているが、そのインスピレーションの源のひとつは、このブレハッチのサクセス・ストーリーだったという。

(c)浜松国際ピアノコンクール

今や世界のトップピアニストの一人となったブレハッチだが、そんないきさつもあって、日本や日本の聴衆に対しては特別な想いを抱いてくれているようだ。来日のたび、その優しくまっすぐな音で、私たちを包み込んでくれる。

今回取り上げるプログラムには、古典派からロマン派の時代を生きた、ピアニストにとって大切な作曲家によるレパートリーが並ぶ。ポーランド人でありショパンコンクールの覇者であるから、演奏活動においてショパンばかりを求められがちななか、ブレハッチは長いピアニスト人生を見据え、着実にレパートリーを広げてきた。

(c) Marco Borggreve

澄んだ音で奏されるモーツァルト、素朴でありながら力強さを兼ね備えたベートーヴェン、一変、気まぐれに揺らぐ情熱をぶつけるようなシューマン。そして、やはり期待せずにはいられないのが、ショパンだ。なかでも、生涯にわたって故郷ポーランドを思い続けたショパンが書いたマズルカでは、なつかしい思い出の影を追いかけるような、切なさと幸福感があふれだすような音楽を聴かせてくれるだろう。その特別な感情を受け取るためだけでも、充分ホールに足を運ぶ価値がある。

(c) Marco Borggreve

自分の内なる声に従い、ひたむきな音楽活動を続けてきたブレハッチ。その中で培われた多様な表現力、そして、初めて日本の聴衆の前に登場したあの頃から変わることのない純粋性を、存分に味わう時間となりそうだ。

高坂はる香(音楽ライター)

 


横須賀芸術劇場リサイタル・シリーズ57
ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル

2019年 11月17日 (日) 15:00開演 (14:30開場)
よこすか芸術劇場
S席:6,500円 A席:5,500円 ペア券(S席):12,000円
※未就学児童はご遠慮いただいております。 託児サービスをご利用ください。

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