YOKOSUKA ARTS THEATRE

オペラ『ドン・カルロ』出演者たちの公演への意気込み

 今年最大級の話題のオペラ『ドン・カルロ』。
 新制作となる今回の公演は、東京二期会とシュトゥットガルト州立歌劇場が提携して、日本ではよこすか芸術劇場で初めて上演されます。
 公演に先駆けて、横須賀公演の主要キャストから意気込みが届きました。

© 上野隆文

妻屋秀和(フィリッポⅡ世)

 フィリッポⅡ世は歴史上実際に存在した人なんです。
 この役は、親として、王として、そして夫として失うものがすごくたくさんあります。1枚1枚薄皮が剥がれるように、どんどんどんどん失っていく姿=悲哀というものを皆さんに感じられたらと思います。

城 宏憲(ドン・カルロ)

 スペインの王子ドン・カルロは心も体も弱く、いわゆるかっこいい王子ではありません。悩み、苦しみ、もがき、いろいろな人たちの力を借りて何とか立ち上がっています。
 ドン・カルロで一番の有名なのは、親友ロドリーゴとの友情の二重唱です。そして、愛するエリザベッタとの重唱 3曲はいずれも聴いてほしいです。
 ドン・カルロの人間的な成長とともに、オペラを最後までご覧いただければうれしいです。

© 井村重人

清水勇磨(ロドリーゴ)

 ロドリーゴは男気がある素晴らしい役で、ドン・カルロ(主役)を陰から支えています。
 アリアはもちろんですが、デュエットやアンサンブルにも注目していただけると嬉しいです。

© Yoshinobu Fukaya/aura.Y2

木下美穂子(エリザベッタ)

 エリザベッタは、ドン・カルロという恋人がいるけれども、政治的な背景や時代の特徴に翻弄され、愛する人とは結ばれずに、彼のお父さん(フィリッポⅡ世)と結婚しなければならないという運命に苦しみながら、そしてカルロの愛を思いながら、悲劇に進んでいくというナイーブで、でも心は強いという美しい女性です。
 ドン・カルロとの二重唱では、愛に喜びをあふれた曲、悲しい別れのような曲のほか、最後の場面では本当に美しい音楽でぜひ聴いてほしいです。

加藤のぞみ(エボリ公女)

 エボリ公女はスペインの由緒正しい家庭の出身で知性があり、頭も良く、そして何といっても類まれなる美貌を持っています。その美しさ、高貴な身分からフィリッポⅡ世の愛人で、宮廷では我が物顔で振る舞います。
 自分の美貌への自信から、ドンカルロは自分を愛していると勘違いし、自分も惹かれていきます。しかし、その愛が自分ではなく王妃エリザベッタに向けられていることを知ると、嫉妬の炎を燃やし、エリザベッタを陥れていきます。
 華やかな登場、そしてドンカルロとの愛から嫉妬へと変わる心の移りゆき、その後に待ち受ける後悔の念。彼女の心と立場の移り変わりに注目していただきたいです。

 このように様々な人間模様が描かれているヴェルディの傑作オペラ『ドン・カルロ』。彼らの歌声・演技にどうぞご期待ください。

<公演概要>
シュトゥットガルト州立歌劇場との提携公演
2023グランドオペラフェスティバル in Japan
東京二期会オペラ
ジュゼッペ・ヴェルディ オペラ『ドン・カルロ』〈新制作〉

全5幕/イタリア語上演・日本語字幕付き
2023年 9月30日 (土) 13:00開演 (12:15開場)
よこすか芸術劇場
https://www.yokosuka-arts.or.jp/performance/detail/?id=2727

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